第3章

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下肢が気持ち悪くて、絡まった身体が重たくて松浦は眠れなかった。 丁度後頭部に当たる宮倉の寝息を聞きながら徐々に白んでいく外の光で見えてきた室内を眺めていた。 綺麗とは言えない部屋だ。 ベッドの横にラックがあるがその一番上の棚は洋服が乱雑に積まれていた。 その下には年代物の小さなテレビがある。これはきっと実家から持ってきたものだろうな、と思う。 だって今はこんな分厚いテレビ、売ってないんじゃないかな? 宮倉はここで毎日寝起きしているのか。 そう思うと胸がじわりと熱くなる。 掛けてくれた布団はごわごわしているけれど自分のものとは違う匂いがしてさっきから何度も顔に押し付けて遊んでいる。 つけっ放しのエアコンのせいか喉が少し痛む。 壁掛け時計がもうあと数分で五時の時刻を打つ。 そろそろ起きて帰らないといけない。 脱力した宮倉を押し退ける事はもちろん出来たと思う。でも宮倉はぐっすり寝ているし、自分も動きたくなかったので抱かれたままにしていた。 身体を動かした拍子に先端だけ挿っていたペニスがずるんと抜けた。 このまま……起こさずに帰った方が良いのだろうか? 気持ちよさそうに寝ている男の横顔を少し眺める。 また、忘れた振りしないだろうか。 思ったよりも宮倉は口が悪く、性格も悪い気がする。 「宮倉……宮倉、もう帰らないと」 宮倉の肩を触ると布団から出ていたせいか冷たくて、布団を引き上げ掛ける。 声を掛けただけでは閉じた目が開かない。 仕方なく松浦は布団の上から宮倉の身体を揺すった。 ピクリと瞼が動き少し目が開く。
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