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気に留めないようにずかずかとバスタブに入ってくる羽振。
彼もシャワーを浴びる。
服を着ている時よりももっと細くて、筋が張っている体。
「ぬるいね、これくらいが好きなの?」
お湯を胸で受け止めながら言う。
「あんまり熱いのは好きじゃなくて」
見上げると、そこに羽振の顔。
眼鏡のない目と目が合う。
そういえば、初めて見た。
「まあいいか。
あ、このユニットバス、結構隣に声が漏れるから気を付けて」
そう言うなり、背中へ腕を回して引き寄せられた。
そんなことを言われたら、気になって声を出せなくなる。
額にお湯が当たる。
思わず目を閉じる。
髪の毛は濡らしたくなかったのに。
お湯と一緒に唇。
ぬるめの温度。
少しづつ強く吸われる。
硬い胸板に体重をゆだねてしまうと、安堵感が体を包む。
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