錯覚

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夕飯から一息ついて、俺たちが買ってきたデザートを食べることになった。 藤森が選んだビターチョコプリンだ。 「うーん、大人の味だねー!!」 「お前に大人の味がわかんのかよ!?」 「わかるに決まってんじゃん。成瀬さんこそ、精神年齢は低いんだから私のこと、子供扱いするのやめてもらえます?」 「はあ?」 「何よ?」 「秀一さん、これ、すごく美味しー!!」 「良かったな。俺の半分とっとくからゆっくり食べろ。」 「はい!!んー。最高。幸せ。」 「俺はゆいのその顔見れて、幸せだ。」 カーーーーン。 何の音だったのかは不明だが、 藤森と二人でポカンと口を開けたまま二人を見ていた。 「お前も、室井みたいに可愛く出来ないわけ?」 「無理。無理。」 …やっぱな。 「それよりさ、やっぱこれにして正解だったね!ホントに美味しいもん!!」 そう言った藤森の顔は 俺の心を鷲掴みにした。
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