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「き…、救急車ッ…」
鞄の中に入っている携帯をとろうと、手探りで引っ掻きまわすが、動転してどれが携帯か分からない。血で手が滑った。……鞄の中の不要な物(又はゴミ)を呪う。使わないノートや、アダプタ、昼の弁当のゴミ等が出てくる。
……ええい!くそっ
心の中で悪態をついて、鞄を逆さにして中身を出そうとすると、その手を掴まれて止められる。
「必要ありません。大丈夫です。」
倒れていた女の子がむくっと起き上がる。黄土色のコートや学校の制服が腹部を中心にどす黒い色に染まっていた。口からも血が滴っている。大丈夫には到底程遠い姿だ。動く度に血液が溢れ出ている。
「血が出てるから、動くな!」
彼女の肩を抑える、彼女は不機嫌な様子でアスファルトの地面に座った。そして再度言った。
「本当に大丈夫なんです。見た目は酷いけど、痛くもないんです。だって私もう死んでますから。」
「は?…いや、……」
きっと、間抜けな顔をしていたのだろう。女の子は微かに笑った。
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