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軽く笑ってヤチルはルカの取りこぼした敵にナイフを投げる。ルカほどの精度は無いものの、ナイフは投げたそばからルカの鉄糸が回収してくるので接近を許さず一定の距離を保ち、着々と任をこなして行った。
ーーー
「本当にこんなとこに脱出経路なんて用意してあったとはね」
ヤグモの炎で切り開いた先は当初の予測通りアジトに用意された緊急脱出用の通路だった。
「ヤグモさんが通路ごとぶっ壊してくれたおかげでもう役に立ちませんけどね。入口は分かっても、こっちの出口は見つけられなかったんで当たりをつけて自分らで張っておく、ってのが一応もともとの作戦だったんすけど」
たいして失敗を悔やむ様子も見せず淡々と告げる。
「正面突破はやっぱり難しかったかー。まあリョウちゃんも上手くいくとは思ってなかったみたいだけどね。
つまり、ルカちゃんたちが成功すれば裏口から出てきた奴らをボクらが叩く、失敗しても中にアジトがあるのは分かってるからこっちから侵入して気を逸らし、逆にルカちゃんたちに残党狩りをやってもらう、ってことだった訳だ」
話しながらヤグモはぐるりと辺りを見渡し、リョウを追い抜いて歩き出した。
「元気っすね。まあこっちのシナリオの方がヤグモさん的には大活躍ですけど」
ルンルンと先を進むヤグモは、角を曲がる手前でふと立ち止まる。
「ねぇ、リョウちゃん。確認なんだけどさ」
「何ですか」
「この任務、殲滅で、合ってる?」
ニコリと笑ってヤグモが振り返る。
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