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「そうじゃなかったらこのメンツで来ませんよ」
リョウは白けた目でヤグモを一瞥する。
「任務はこのアジトの殲滅。情報はほぼ掴んであるんで捕虜は要りません」
言いながら壁際に寄り、足でザッと辺りの土を慣らすとしゃがみ込んだ。
それを見届けヤグモは右の刀一本だけを引き抜く。
「了解っと。リョウちゃん、手助けよろしくね」
顔だけリョウの元に向け微笑むと、ヤグモはそのまま角を曲がってアジト中枢へと踏み込んで行った。
「さて、自分は自分の仕事をしますかね」
しゃがみ込んだまま呟くと、リョウは地面に幾何学模様を記していく。
「ルカさんたちは流石ですね……
まあもう少し仲良くやってくれるといいんですけど。
ヤグモさんは相変わらずだな。あの人本当に幾つ目がついてるんだか」
記しながらブツブツと仲間の状況をあたかもその目で見たかの様に確認していく。
「あれ、ヤグモさん何やってんすか。取りのがしてますって」
あちゃー、と漏らしながら指を止め、すぐさま立ち上がり模様を足で丁寧に消していった。
そうしている間にも角からは複数の足音が響き始める。
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