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油断は無かった。
目の前の少年が、実際どのような者なのか、彼等には見当がついていたから。
「はっ」
気迫と共に先鋒が一閃、流れるように二番手に引き継がれ、さらに一閃。
さすがは盾に選ばれるだけあって多少の腕は立つ。
それを、相変わらずの微笑を崩さず、リョウは僅かに体を逸らす事で難なく交わした。
最後の男は一撃目が避けられたのを見て、とどめと振り上げた刀を正眼に構えて一歩引く。
「狗めが」
心底苛つき、そんな言葉を残して。
「穴蔵の狗はどっちだ」
投げつけられた言葉に表情は変えず、頭に従い下がった手下を追う事もせず、ただ吐き捨てる。
仕切り直しと言うように、再び刀を構えた三人に対し、リョウは笑みを深め、
「ああ、違う」
先ほど同様右手を前に翳して言う。
「袋の鼠、か」
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