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「ルカ、あった。ビンゴだ」
「了解。後は作戦通りに」
若い男がレンズを片手に告げると、少女が先行して茂みから飛び出した。追随して若い男も飛び出していく。
「若いねぇ、全く。少しは年寄りのことも労って欲しいよ」
少し離れたところにいた三十路風の男性は、やれやれと身振りで示し、遅れて二人とは反対方向へ向かう。続いてもう一人。
「ヤグモさん、あなたもまだまだ若いでしょ。ジジくさいのは見た目だけにして下さいよ」
側に居た長めの茶髪の青年が追いかける。平然と込められた皮肉を気にかけず、ヤグモはキラリと目を光らせた。
「あら、リョウちゃん。君こっちだったっけ?」
一転して明るい調子でヤグモは問いかける。
「流石にちゃん付けはやめて下さい。自分も一応男です。それに、聞いてなかったんすか、作戦。」
呆れたように返す男に、ヤグモは小さく首を傾げることで答えた。
「別にリョウちゃんいなくてもボク一人でこっちは大丈夫なんだけどなー。寧ろ、あっちは大丈夫かな?」
微かに笑みまで浮かべるヤグモに実際その通りだと苦笑する。
「ルカさんも流石にバカじゃないです。それに、ヤチルさんもついてます。滅多なことがない限り大丈夫っすよ。寧ろ自分は自分の身の方が心配です。巻き込まないで下さいよ?」
「んー、どうだろうねー。それよりリョウちゃん、あそこ」
「分かってます」
目的地を認めた彼等は会話を中断し立ち止まる。
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