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「らあっ」 ルカがたどり着いた時には既に倒れ伏す敵の姿もあり、ヤチルは中心に近い位置で得物である短刀を振るっていた。 彼の戦い方は、ヤグモとはまた違った意味で豪快だ。 左拳で殴りつけた相手に右手の短刀でトドメをさす。攻撃に対しては蹴りや拳でことごとく打ち落とす。 と思えばいきなり短刀を投げつけ、既に伏した敵の刀で刀を受け止める。吹き飛ばすと同時に刀を投げ捨て、また違う武器を拾って戦い始める。 そうやって短刀を投げた付近まで近付き、再び短刀で戦い始める。 彼曰く短刀が一番使い馴れているそうだが、それ以外の武器は物を選ばない。裏を返せば何でも使える、ということだ。 ヤチルの戦い方は言うまでもなく乱闘向きであり、それが突入メンバーを任された理由でもあった。 「リョウのことだから多分こうなることは分かってるんでしょうね。というか、視てるか」 それなら今さら作戦の変更を厭う必要もない。 ヤチルは奮闘しているが、騒ぎを聞きつけどんどんと敵が集まってきていた。 「さて、私もやりますか」 ルカは壁を背にしたまま、懐から小さなナイフを大量に取り出し、無造作に投げ捨てる。 しかし全てが当然とでも言うように柄を上にして地面に刺さった。 武器庫かよ、というヤチルの声を完全に無視して腰を落とす。 「東雲流、五月雨……刺」 言葉と共に右手で数本引き抜き、その勢いで投擲する。次いで左手、右手と回転しながら繰り出していく。 途中ルカに気づき止めようとする敵はヤチルが制し、またはルカの手によって倒されていった。 ルカの武器は殺傷力こそ低い小ぶりのナイフだが、確実に急所に命中し、悲鳴すら上げさせずに敵の数を削っていた。しかし、流石に敵の数が多い。 最後の一本をヤチルと交戦中の敵に投げつけ、気を引くと、後退しろと合図する。
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