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---8:40
紗江理は研究室に再び戻った。
他の研究員はまだ来ておらず、がらんとしていた。
椅子に座るなりパソコンを開き、言うべきポイントを思い起こしながら、ブツブツとプレゼン発表の練習を始めた。
はたから見たら相当怪しいが、
紗江理は大学時代の恩師に
”プレゼンや論文は声に出して確認すること”
と教え込まれていたいたため、今になってもそれを実践している。
紗江理が最後のスライドを確認し始めた頃
「先輩!おはようございます」
凛としたかわいらしい声が室内に響く。
振り返ると、艶のあるさらさらミディアムストレートヘアの女性が立っていた。
「あ、猿渡さん、おはよ」
彼女は、紗江理の5個下の後輩である
”猿渡奈菜”だ。
この研究所に勤める女性の多くが、余裕がなくなり途中からオシャレを放棄する中、彼女は珍しく入社当時の女子力を維持していた。
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