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”土屋紗江理”は、薬剤師資格を持つ研究員である。
大学院卒業後,この製薬会社の開発研究職に就職した。
現在うつ病に有効な新薬開発のプロジェクトに関わっている。
今日は開発研究部の会議がある。
各プロジェクトグレープの代表者が進捗報告を行うのだ。
うつ病新薬開発プロジェクトのサブリーダーである紗江理は、代表者として本日プレゼンを行うことになっている。
この会議は、各新薬プロジェクトを続行するか否かを決める大切な会議だった。
新薬開発には非常に長い年月を必要とする。
最適な化合物を選び出すのに最低3年、動物実験などの非臨床試験に最低3年、人を対象とした治療試験にも3年、販売までの審査にも2年かかる。
病院での治験を行うためには、まずは会社内での審査を通らなければならない。
様々な新薬プロジェクトが行われているが、実際に治験や販売の段階までたどり着くのはほんの一握りだ。
何年もかけて行ってきたプロジェクトが途中でダメになる例を、彼女はいくつも見てきた。
彼女のプロジェクトは非臨床実験の佳境を迎えている。
治験へ進められるか否か
今日の会議での自分のプレゼンが、プロジェクトの将来を決める。
今がまさにその頑張り時なんだ。
と紗江理は自分に言い聞かせ、疲れた体に鞭を打って頑張っている。
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