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"And the moment I can feel that you feel that way too"
何を勘違いしていたのだろう。
所詮客と店員というだけの関係で。
"彼女"にとっての自分は、客に誘われれば誰とでも付き合う、後腐れのない最低な男。
ならばいっそ"最低な男"とやらを全うしようではないか。
誠一は不敵な笑みを浮かべ、"彼女"の耳許で囁いた。
「いいですよ」
"Is when I fall in love"
テーブルの上にある"彼女"の白魚のような手に、掌を重ねる。
「閉店後、店の裏で落ち合いましょう」
"―with you"
自分は心から望んでいたはずの存在を、全く望んでいなかった形で手に入れようとしている。
"彼女"に背を向け、厨房に戻る誠一の横顔はいつになく翳っていた。
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