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学寮に戻り
学ランを脱ぎ、ワイシャツの第三ボタンを外し
ベッドに横たわる。
おもしれぇやつだったな。
神崎 隼。
…暴走族、か。
別に
あいつらを見捨てたって構わなかった。
けど
族が潰された後にあいつを相手にしたら
弱ってる奴を潰したみたいで
気に食わなかった。
うん。
それだけだ。
それに
神崎は、狼牙の総長に報告するみたいだった。
自分の持ってる族を見捨てるような奴だと
そんな無責任なやつだとは誰にも思われたくねぇ。
まぁ
実際は無責任なんだろうがな。
ただ壊すだけだ。
作ったもんを壊す。
俺の破壊対象は
物と人間。
自然や小動物には手を出さない。
だって
可哀想だろ?
人間に良い様に利用されて
壊される。
だから
俺は人間を壊すんだ。
仕返ししてやってるんだ…。
…ははっ。
なんか
こうやってほざいてるだけの奴は大勢いるよな。
そいつらみんな
孤独ぶって
家族や友達に偉そうに当たったりしてんだろうが
俺には家族なんかいない。
友達は…生涯で一人だけだ。
あいつは突然消えた。
消えた理由もわからねぇ。
家はなくなってた。
俺はあの時
奈落に落とされた気分だったよ。
いきなり
見えていたものが何も見えなくなって
怖かった。
あいつ以外とは馴れ合いたくなくて
いじめられてた。
いつも
あいつが俺を助けてくれた。
あいつがいないと理解してから
俺は一人だった。
自分の身は自分で守る。
そう思ったら
怖いもんなんかなくなって
攻撃した。
俺は、それだけなんだ。
攻撃して壊して
潰して、ただそれだけなんだ。
俺には…信頼出来る仲間もいねぇし
作ろうとも思わない。
あいつが居るから…あいつを絶対探し出して
消えた理由を聞く。
俺が嫌いになったんだったら
それでいい。
俺は…あいつに
ありがとうって言いたいだけだ。
自分の身は自分で守るって教えてくれたのは
あいつだったから。
ドンドンッ
うとうとしてきた頃
部屋の扉が叩かれた。
イラつきを覚え
無視した。
ドンドンッ
ドンドンッドンドンドンドンッ
『うぜぇ…潰す。』
ガンッ
ベッドから飛び起き
扉を蹴破った。
「いってぇっ」
扉の下敷きになったであろう人物の声が上がる。
『うぜぇんだよ。
てめぇ誰だ?』
「いきなり蹴破るなんて思うかアホッ!!」
『はぁ?』
扉を這い出た奴は赤髪だった。
俺に向かってアホっつったのこいつだけなんだが。
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