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「はい?」
出張先のビジネスホテルの廊下でのこと。
眼鏡をかけ直していた映子は思わず聞き返した。
「あなたはずっと本社勤務だから知らないかもしれないけど、うちの部長はSE部に来た女性は皆、全員、取り敢えず、手を出すのよ」
手を出す、ということは。
「セクハラですか」
「一般的に言えば」
「知りませんでした。
なんで皆、訴えないんですか」
藤井は少し困った顔をして言った。
「それはセクハラが成立しないからよ」
「?」
「とにかく、ドアを開けないこと。
いいわね」
藤井は再度念を押すと、いまいち理解出来ていない映子を残してその場を離れた。
全員取り敢えず手を出すのよって、なに、そのエロゲ展開。
しかも手を出されたのにセクハラじゃないって、どういうこと。
映子はよくわからないまま、ビジネスホテルの自分の部屋に入った。
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