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「藤井さんは」
藤井はストレートに尋ねる映子に苦笑した。
「わたしは結婚してるし、旦那はこの会社の社員だからね。
でも、こんなおばちゃんでも彼は一応口説いてきたわ。
まだ結婚前だったけど、もう旦那とは付き合ってたし、しばらくそれを理由に拒否ってたら、じきにあきらめた。
挨拶なのよ、彼にとっては」
「おばちゃんなんて、そんな」
映子より年上の、赤いセルフレームの眼鏡が良く似合う藤井は、おばちゃんと言い捨ててしまうには惜しい、魅力的な女性だった。
挨拶代わりに女性を口説くなんて、本当にする男性がいるんだ。
そんな男はゲームの中だけの設定物だと思っていたのに。
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