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深い渓谷から青とエメラルドグリーンが混ざった川が広がってさ。
水しぶきが音をたてながら白く跳ねたりして。
黒っぽい岩肌に、白い石が敷き詰められた川原。
岩肌から生えた木々の緑と合間に生えたヤマユリの橙色。
目を焼くような日の明るさと、木々の影がキラキラ落ちて…………
景色を独り占めにするのが、ちょっと嬉しくなっちゃってさ。
急いでいたのも忘れて見入ってた。
白い、帯?って最初は思ったの。
よくは知らないんだけど、蟹獲り漁なんかの仕掛けで、ビニールの紐とか布とかを水中でヒラヒラさせてたりするの、何度か見かけた事があったから。
でも、逆だったの。流れと。
白く帯は川の流れとは逆に、くねりながら川上へと、少しずつ、少しずつ登っていく。
え?何あれ?ってよく見て気づいたの。
白い、白い、大きな蛇だって。
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