白い蛇およぐ

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そもそも人間と構造があまりに違いすぎるのよね、蛇って 手足ないし、そのくせ体長は細くて長い。 あんな細い、得体の知れない体をしているくせに、人と同じ背骨が並んでいて、肺とか心臓とか、同じ働きをする内臓が詰まっていて、 息をして、赤い血が流れているんだと思うとちょっとゾッとしない? ………ごめん、話が逸(そ)れちゃったね。 ともかく、川上に向かって泳ぐ白くてデカい蛇だったの。 ものすごく、綺麗だった。 メロンソーダにアイスクリーム落としたみたいなの。 緑っぽい青色っぽい川の中で、仄白(ほのじろ)く発光しているみたいな蛇が、優美に身をくねらせながら、泳ぐ。 川と森と、岩と空と。そこを白い蛇がおよぐ姿はなぜか自然で、似合っていて。 まるで夢の中みたいな、神代(かみよ)の世界を覗(のぞ)いたみたいな、そんな気持ちになったわ。
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