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踵を返して玄関へ向かおうと
足を持ち上げた瞬間、
「世話になっておきながら礼も言わず逃げる気ですか?」
後ろから棘をグサリと刺してきた。
仕方なく振り向きヤツを見ると
メガネを中指で押し上げていた。
「どーもお世話になりました。それではサヨウナラ」
棒読みのセリフを吐き、軽く頭を下げた。
まぁ、礼は確かに言わなくちゃな。とか、
此奴も私に関わりたくないだろうし、これで帰れると思った。
「それで?」
予想外のセリフが来た。
「は?」
思わず頭を上げると
無表情に見下ろされていて
「何があったんです?」
「…へ?」
此奴、私に関わりたくない筈だよね?
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