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「…な、んで…」
彼の名前が出た事で
動揺と胸の痛みとで
言葉が上手く出てこない。
「彼…癖っ毛ですよね」
名前を出した癖に核心に触れようとしない桐島。
けれど、ここで名前を出したと言うことはそういう事だ。
私達の関係を知っていたのだと。
「だから、何で桐島がソレを…」
私達の関係は社内では内緒にしていた。
相楽が…
同期にからかわれるのが嫌だからと言って。
「昨日、彼を見かけたのを思い出して言っただけですが?」
しれっと会話をはぐらかす桐島は、それが何か?と言わんばかりに冷静な眼を向けてくる。
「そ、そんな訳ないじゃない…
惚けないでよ」
「廣川が言うなら私も言いますが?言えないのなら話はこれで終わりです。帰って下さい」
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