売り言葉に…

15/20

160人が本棚に入れています
本棚に追加
/55ページ
「…な、んで…」 彼の名前が出た事で 動揺と胸の痛みとで 言葉が上手く出てこない。 「彼…癖っ毛ですよね」 名前を出した癖に核心に触れようとしない桐島。 けれど、ここで名前を出したと言うことはそういう事だ。 私達の関係を知っていたのだと。 「だから、何で桐島がソレを…」 私達の関係は社内では内緒にしていた。 相楽が… 同期にからかわれるのが嫌だからと言って。 「昨日、彼を見かけたのを思い出して言っただけですが?」 しれっと会話をはぐらかす桐島は、それが何か?と言わんばかりに冷静な眼を向けてくる。 「そ、そんな訳ないじゃない… 惚けないでよ」 「廣川が言うなら私も言いますが?言えないのなら話はこれで終わりです。帰って下さい」
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

160人が本棚に入れています
本棚に追加