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黙ったまま見合う二人。
先に動いたのは桐島で。
私に近寄り、耳打ちしてきた。
「相楽さんが睨んでますよ」
「…え」
顔を向ければ
私と桐島のやり取りを見ていただろう相楽と目が合った。
恐らく、会話も聞こえていた筈。
ピシリと私の中に嫌な感覚が走る。
「それでは廣川さん、約束の場所で待ってますから」
「ちょっと…桐島っ」
この場の空気を更に凍りつかせて去って行った桐島。
わざとそうして行っただろう桐島が憎たらしい。
「そういう…事かよ」
相楽の呟きが聞こえた瞬間
慌てて帰り支度を始めた。
「…お先に」
「おい、廣川」
呼び止める相楽を無視して
足早にフロアを出た。
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