陥落?

20/25

160人が本棚に入れています
本棚に追加
/55ページ
「熱が忘れられないのなら…」 無表情に 更に距離を詰めて来る。 これ以上後ろに下がれる訳も無く 身を固くするしかなかった。 そんな私の髪を掬うと 桐島はそっと口付けた。 「無理に忘れようとせずに 熱を上書きすれば良いんです」 「な、何言って…」 至近距離で絡む視線に 言葉が続かなかった。 桐島の訳の分からない結論付けに返す言葉なんて出てこないのだ。 身動きも瞬きもせずに ただ桐島を見返す事しか出来なかった。 そんなだからか 心音がやけに早く感じて 息苦しい。 「冗談です。気の無い相手とそんな事をしても虚しいだけですよ」 浅く息を吐くと 私からあっさり離れて 距離を取った。 「そ、そんなの当たり前よ!」
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

160人が本棚に入れています
本棚に追加