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別に今更…
この男に呆れられても一向に構わない。
しかし大家さんに出て行くと言っていた手前、部屋が見つからないのは本当に困る。
会社からそこそこの距離で
利便性に優れた立地…
隣の桐島の存在など忘れて
引っ越し先をあれこれと
グラスの縁をなぞりながら考えていた。
「空き部屋、紹介しますよ」
「…え?」
桐島の言葉に
咄嗟に振り向いた。
「まぁ、廣川が話に乗るとは思えませんが…一応伝えておきますから」
「……」
無表情に中指で眼鏡を押し上げている桐島。
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