第1章

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二日後。 放課後になって準備室にやってきた春季に向かって、杉本は話があると切り出した。 「何ですか、改まって」 きちんと対座するように向きを変えて座りなおした杉本に、春季は軽く微笑んだ。杉本はそんな彼を無言のまま見つめ、徐に口を開いた。 「そろそろ呪縛から解放してやろうかと思ってさ。私はずっとお前にね、自由なんだと言いたかったんだ」 「先生、夢の助数詞をご存知ですか?」 唐突だった。 でも、これが春季の思考。誰にも真似できない、とても愛しいモノだ。 「知ってるよ。一片だろう、」 「その通り、ヒトヒラです。何でわざわざそんな風に言うのか俺には見当もつかない。夢も平たいのかよって考えるとちょっと笑えるけど・・・でも、時々物凄く遣る瀬無い気持ちになるんですよね」 「そういう数え方をするのは、雪も花びらも夢も全部―――――」 儚いものだからだろう 「俺はそんな儚いものでもずっと一緒に見ていたいんです。俺は――」 じゃあさ、 春季の言葉を掻き消すように、杉本が声を紡いだ。 「蝶はどう数えるのか、知ってる?」 ずっと前に、『この世で一番好きなモノはカラスアゲハで、嫌いなモノは人間だ』って・・・言ってなかったっけ? 「一匹」 「違う、一頭だ。お前本当に蝶が好きなのか?」 俺はそんなものより あなたの方が好きです 一瞬眩暈を覚えた。 ああ、もうだめかもしれない・・・・・・・ ・・・・・・こんなにも、自分は・・・・・・・ 「もう一度言いましょうか、」
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