第1章

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如月美奈子は今日から高校生だ。家から2時間もかかる学校を選んだのは、今までの自分を変えたかったから。誰も自分のことを知らない場所に来たかった。 別に小学校でも中学校でもいじめられていたわけではなかった。友達もいた。でも、 「美奈子ちゃんってあんましゃべんないよね。楽しくないの?」 中学の時に友達にそう言われた。口調からして悪気はなかったんだと思う。でもその時自分はとても楽しかった。もともとあまりしゃべる方ではないし、感情表現も豊かではない。でも初めて言われた友達の指摘に、自分は思った以上に傷ついたらしい。 今までみんな私のことをそんな風に思ってたのだろうか。知らず知らずのうちに、みんなの気分を悪くしていたんじゃないだろうか。 そう思うと、人と話すのが怖くなった。 人と話さなければ、相手に嫌な思いをさせることもないし、自分も傷つかずに済む。 そうして人と話すことを避けるようになり、だんだんと中学校に登校する日が減っていった。
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