第1章

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登校せずに家に籠もっている間は、たくさん本を読んだ。主人公が中学生の青春ものは、自分と比べてしまって、みじめになるから嫌いだった。だから高校生や大学生が主人公のものばかり読んだ。みんなきらきら可愛くて、楽しい毎日を過ごしていた。恋人ができたり、失恋したり、美奈子にとっては未知の世界だった。 「私もこんな風になれたらいいなあ」 中学校は何とか卒業できた。素敵な高校生活を夢見ながら受験勉強を頑張った。みんなが教室や図書室で一緒に勉強している中、ひとり家で勉強するのは少し寂しかった。けれど、これも卒業するまでの我慢だ、と思いながらひたすら勉強した。 美奈子の第1志望の高校は地元からはかなり遠いため、受験する生徒はかなり少なく、美奈子の学年は彼女ひとりだった。それが狙いだった。遠ければ、誰も知り合いがいなければどこでもよかった。学校見学には一度も行っていなかった。 合格発表の日、掲示板に自分の受験番号を見つけた時は、希望で胸がいっぱいになった。 高校からは新しい自分になるんだー
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