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でも、
「ん~~っ」
『我ながら声エロっ』と思いながら歩きつつ軽く伸びをする。
今この世界の住人は自分だけだ。誰も自分を────『私』を知ってる人はいない。
別に孤高の戦士を気取ってる訳ではないが自分はこの時間が大好きだ。学校で友達とかいう上辺だけの付き合いがあるらしい人達と無駄に脳を稼働させる無駄な時間よりは遥かに。
『私』は捻くれてるなー。仮にも友達とは言え──いやそもそも仮にはとか言ってる時点で……。
………………。
「よしっ」
飲み干してしまって空になった空き缶を構え、近くのゴミ箱に狙いを定めた。『よっ』と軽く掛け声をかけてる赤い缶を放り投げると缶は緩やかな放物線を描いてゴミ箱の上にポトリと落ちた。
そして弾かれる。
「…………うん、知ってた」
当たり前といえば当たり前だが中のゴミが盛り上がっているゴミ箱に向かって投げたところで入る訳が無かった。
仕方なく地面に転がった空き缶を拾い上げると落ちないようにバランスを取ってソーっとゴミ箱の上に乗せる。ゴミ箱は今度は缶を受け入れてくれたようでキチンとその役割を果たしてくれる。
自分はしばらく絶妙なバランスで足場の悪いゴミの山の上に立つそれをなんとなく眺めていた。
そう言えば今日月曜か、立ち読みしなきゃなー。
それはそれとして、ヒトカラ……は金ないしなー。
慢喫……も金ないし。
ジャンプついでになんか他の本か漫画も立ち読みしようか。うんそうしよう。あと3日でお小遣いだ。
あー本当、
『私』は何がしたいんだろうか?
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