出会いの記録

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こう見えても、流行の最先端ヒッキーや反社会性の塊に見えても自分は馬鹿ではない。少なくともそう思ってる。 学校サボるとか論外。塩見先生だってそんな自分を心配してくれているのだろう。学校の友達(仮)も口には出さないがそんな態度が話やなんかの節々から自然に感じ取れるような気がする。 普通に学校に通って、普通に授業を受けて、普通に友達と遊んで、普通にテストを受けて、普通に普通に普通に。 そうすべきなのは分かっているし出来る限りそう振舞っている、面倒なのは嫌いだから。 でもダメだ、ダメだ。どうしたって気色悪い、気色悪い。そんな普通を過ごしている『私』がいることが想像するだけで気色悪い。 けれど── 「……ふぅ」 大きく息を吐いた。なんか勝手によく分かんないスパイラルに陥ってる、なんで自分は自滅してんだよ。さっきからいろんな思考でゴチャゴチャしてた頭がスッと切り替わった。 つまり結局のところ自分はこの『普通』に絶望してるんだろう。そりゃ生きてるからビッグになりたいというか人とは違う何かになりたい。 ミュージシャンや漫画家はもちろん魔法少女か宇宙を股にかけちゃう系のなんかとかそっち系でも大丈夫。とりあえず『違う』になりたいのだ。流石中二病言うことが違うぜ! ────でもありえない。 僕達私達の未来はほぼ決まってる。今からの頑張りで変わるのは名乗る肩書きと給料くらいだ。 女の自分は多分腰掛けOLにでもなっていい人捕まえて家庭に入って、もしくは一生独り身で寂しく……いやそれは嫌だな。とりあえずそんな感じだ。 自分はこう見えても馬鹿じゃない。夢見がちではあるが現実は見えてると思う、そんな現実は不毛とは思うけれど不満も期待もない。 こんな退屈な日常ぶっ壊したいけど決して壊れないのを知ってる。 ────もっと言えば自分に壊す勇気がないのを知ってるか。そんなどっちつかずの自分が吐き気がするほど大嫌いだ。
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