出会いの記録

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* ……。 …………あれ? ……自分は自分を見つけた、昼休みに自分の席で友達と、呼べるかは学者によって見解が別れるかも知れないけれど大凡そういった人間関係を築いている人達と仲良く話してる自分をだ。 自分の目の前で繰り広げられているのは『私ってほら愛すより愛されたい人じゃん?』とか『あ!聞いて!聞いて!……こないだまっつんがエリとさ───』と馬鹿みたいに大きな声で注意を引いた後何故か声を潜める、といった女子高生っぽい会話だ。 まあ自分は現実には話の内容なんて右から左、『やば~い』『マジで~』とか適当に言って流してるだけだから話の内容なんて合ってるか知らないけれどまあ大体こんなもんだろう。 女子高生は大変なのだ。こうして適当に相手するという儀式を行なって適当にどっかのグループの一員としてニコニコしてなきゃこのクラスに自分の人権は生まれない。 いや、そんなことはどうでもいい。 自分は今何をしてた? 自分ははっきり覚えてる。今日の昼休みは山田……田中、吉田?……全然はっきり覚えてないな、まあいいや。 とりあえず今日の昼休みはその前田?のややこしい話にニコニコするので潰され面倒になったから早退したはずだ、その時シオミーとゴチャゴチャ話した……よな? そう、決して。決して彼女達と話していたわけではない。イラっとしたから覚えてる……ような気がする。 そう……早退したよな?あれ、早退して…………コーラ飲んだな、うん。で…………。 頭がゴチャゴチャだ、私は何してた?私は何かしたよな?私は何もしてなかった?それとも夢……? 一つため息を吐く。 『そうだ日付でも』と思い立ったのでキチンと他愛ないと表現される無駄話の返事はしながら、自分はポケットから次世代型情報端末を取り出して電源ボタンを一度押した。 液晶に最初の画面、現在の時刻と『スライドでロック解除』が現れる。 指し示されているのは四月十七日と十二時〇八分。 やっぱりだ。今日は───今はキチンと四月十七日。学校始まってまだ二週間だ。 うん、そしてわた……自分にはそのもう一日の四月十七日の記憶がある。 なんだよこれ、憂鬱にでもなればいいんですか?
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