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タイムリープ。そんな言葉が自分の頭の中をチカチカと点滅するが───
ねーよ。
「……はぁ」
溜息ひとつ。
「ん?ナギナギどうしたのー?」
「あ、ごめんなんでもないよ!それよりマツダ君先生に見つかってどうしたの?」
「あ!それがさー」
おっと、危ない危ない。思わずぼーっしてしまっていた。
聞き流してはいるけれどちょっと思い出してみようと思えば脳内リプレイ余裕です、という便利能力で会話に無難な受け答えをしてなんとかごまかせた。
自分、いや周りから見た『私』はこうでないといけないのだ。自分はまるで与えられた『私』───『如月渚』の役を演じるように日常に溶け込んでいる。
……つもりでいる、かな?目の前でニコニコ笑ってるこの子たちが裏で何言ってるか分かんないし。別に興味も何もないけれど。やっぱ友達とは呼べないな。
愉快な白昼夢が頭に浮かんでは消えるがやっぱり夢だったんだろう。自分の目の前で行われてる『楽しい』会話がテレビやなんかのガラス越しで行われているような距離を感じる。
如月さんを含め仲良くお話してる女の子達を俯瞰で眺めてるような。いやもちろん幽体離脱はしてないけど。
タイムリープか……。
自動操縦のように勝手に受け答えする口は完全に自分の意識から切り離されている。如月さんは会話を続けているが自分は今の奇妙な夢のことを思い出していた。
そんな楽しい超常現象があれば自分は舞い上がってその異常に飛び込むのに。起きないから超常現象なんだけど。
やっぱり日常は退屈だ。───帰ろっかな。
そうだなまずこの鬱陶……ナカノイイ寄り合い、から、抜け出すには、と。
自分がそんな算段を付けていた時だった。
「あぁ~~!!!」
「っ!?」
いきなり女の子達の一人、エミが大きな声を出した。自分はその声に肩を跳ね上げ現実に連れ戻される。
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