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「ど、どうし──」
「あっ!やっば!!」
「もうこんな時間じゃん!」
如月渚を装って奇声をあげた彼女に問いかけるが、その言葉は他の二人にぶった切られた。三人は机の上に広げていた弁当箱を急いで片付け始め何処か焦ってる様子だ。
再び携帯の電源をつけて時刻を確認する。十三時〇七分、五限が始まるのは二十五分からなのでまだ余裕はあるはずなのだが──
と、そこでふと辺りを見渡すとそこには誰もいない。昼休みだというのにいつもワイワイガヤガヤ無駄にうるさいクラスメイト達が自分達を残して忽然と消えていた。
いや流石に三つの行動を処理するのは出来ないから多分移動を見逃しただけなのだろうが次の授業は確か数学のはずだ。
「あれ?次って移動教室だっけ?」
『…………』
如月ちゃんの問いに目の前でせわしなく動いていた彼女らはピタッと動きを止めた。彼女達は何かおかしなものでも見るようにこちらを見つめてくる。
けれど次の瞬間、それは仕様のない子を哀れむような視線に変わった。
「……渚寝ぼけてんの?」
「ああ、ずっと授業中寝てたもんね……」
「い、いや寝て!……た、けど」
とりあえずその呆れた声には如月ちゃんっぽく返したけれどもちろん自分は寝ぼけてるわけじゃない。
チラッともう一つの今日の記憶が頭をよぎる。
あとその哀れむような目やめろ、本気で。
「全く、私達は七組でしょ?」
だからなんだってんだよ、とその幼稚園児を諭すような優しい声にイライラする。
だか『七組』のワードを頭の中で反芻するとそれが思い浮かんできた。いや知ってたというのか?
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