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「さて……」
とりあえず立ち上がりとりあえずトボトボと誰もいない教室を闊歩する。『さて』とは言ったけれどそれに続く言葉はない。とりあえず言っただけだ。
教室をぐるりと回り教壇までたどり着く。教壇に両手をついて見下ろすと目の前には持ち主のいない机がズラリと並んでいた。
まあだからと言ってどうということもないのだけど。むしろ並んでない方が怖いよね!
黒板を背にして足をぶらりと下げて、教壇の上に腰掛ける。行儀悪いとは思うけれど思うだけ、口元に手を当て足を組んだ。
今わかることは違うことだけ。
これがドラクエ的異世界に迷い込んだ少年ならば道案内のエルフなり王女様なり出てきてもいいのに。
こんな代わり映えのしないとこに放り込まれてどうしろと?いやむしろ今自分が勝手にファンタジー脳でSFチックな妄想してる可能性のが高い。
自分が興味なかっただけで部活動全国一位だったんじゃないかな!うんきっと。授業も……うん、まあ七限までガッツリあったな、去年苦労したし。
「なんつー微妙な」
ポツリと呟いた。目を逸らしていても仕方がない、現実としてこの学校と自分の中で認識している学校とには確かな差異が存在している。
それが夢オチなのか平行世界なのかもしかして妖怪の仕業じゃない!?なのか。
妖怪の仕業って便利だよね。
と、そんな時だった。耳をすますまでもなくドタドタドタドタドタドタッ、と廊下の方から足音が聞こえてくる。
今部活の時間じゃなかったのか?音に反応して顔を上げると次の瞬間、
「居ったぁぁぁっ!!!!」
教室後ろの扉が弾け飛んだ、いや比喩じゃなく。
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