出会いの記録

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* 『Yes』 「────つまり僕が見てる赤は赤とは限らないんだよ」 「へー、大変ですね」 ◯△市の全高校生を対象にしたアンケートの一つにこんな欄があった。 『学校生活は退屈ですか?』 自分の書いた答えは当然Yes。 「ねぇ君、僕の言ってること全くわかってないよね」 「そんなことないよ」 教室という箱に数十人単位で押し込められ、将来のためと何の役にも立たないたかだかランク付けの為だけの物差しを磨いて。 そうして僕達私達が繰り出す未来は至極平凡なものになるんだろう。小さい頃はプロ野球選手やケーキ屋さんの夢を見た、いや見てないな、確かパン屋さんだっけ。 とにかくそんな職種に就くのはごく一部、その上その中でも負け犬のレッテルを貼られない人達のが少ない。『彼は競争に負けたからこんな仕事をしている負け犬だ』と。 具体的には『大きな声では言えないけどあそこのご主人ほら高卒らしいのよ。だからやっぱりそういうお仕事になっちゃうんでしょうね。だからうちのマー君は私立に通わそうと思ってるのよ』 みたいな。 そう考えれば定期テストの点数はやはり人生で大きなウェイトを占めるクソの役にも立たない事案なんだろう。 次の定期テストはやっつけ仕す事で平均くらいは目指そっかな。 就職といってもサラリーマンか公務員か、理系のこのクラスの人たちなら研究職か。 そんなのになって結婚して子供を産んでその子供はまたそんなのになって。 なんか不毛だなーと思う、別に思うだけで不満も期待もないけど。
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