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「なら、どうして泣いてた……
あんな所でひとりで声を殺して……
大丈夫って言うなら俺の前であんな姿見せるなよ
あんなの見せられて放っておける訳ないだろ……」
静かに車内に響く低く掠れた声に、またも胸が締め付けられるように苦しくなる
やめて……そんな事言うの……
一瞬でも勘違いしそうになる
主任なんて嫌いなのに……苦手なのに……嫌な奴なのに……
なのにどうして突き放せないの……?
どうしたらいいのかわからなくなって、救いを求めるように主任の顔を見つめた
そんな私を一瞬驚いた様に目を見開いて見つめた後、フッと小さく笑うと
「だって今日はお前の失恋記念日だろ?なら俺が祝ってやるから元気だせ」
そう言って私の頭をくしゃくしゃと撫でるとニコッと笑った
ハァ……何てこった……
もう自分で自分がわからない……
主任とふたりって事だけでも有り得ないのに、これから主任の家で飲むですと……?
いや、もう今日はどうにでもなれ、だ!
こうなりゃとことん飲んでやる
「わかりました、じゃあお言葉に甘えてお邪魔します
しっかり私の失恋記念日、祝って下さいね」
「ちゃんと祝ってやる、任せとけ」
こうして奇妙な私の失恋記念日はスタートした
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