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「相場さんとの打ち合わせって何だったんだ?」
部長がいなくなり大量の消臭ミストでしっとりと湿った椅子をファイルでパタパタ扇いで乾かしていると、白石さんが仕事の手を止めて聞いてきた
「あっ!そうだった……部長!
白石さんごめんなさい、後で報告します」
部長に確認取らなきゃって思ってたのに、椅子を乾かす事に夢中で忘れてた……
席に戻ろうとする部長を呼び止めると、「ん?誰かな~?私のアドバイスを必要としている子羊ちゃんは」と、いちいちウザい言い回しでイラッとするが、右から左に聞き流しさっきの相場さんの話をした
「あ~その件に関しては、私ではなく、瀬波君にお願いしたよ……瀬波君から聞いてないの?」
「はい、何も………」
「そう……まぁ出張前で忙しかったからね~
君の事は瀬波君に一任してるからな……う~んごめん、瀬波君じゃないとわからないな
急ぎなら連絡してごらんよ、今日は移動だけだから……ちょうど今頃新幹線の中じゃないかな?」
部長が腕時計を確認しながらニッコリ微笑んで言った
「……わかりました」
急ぎと言えば急ぎだし、別にそうじゃないと言えばそうじゃない……相場さんに返事をしなくてはいけないけど、今日中とかじゃないからわざわざ出張先まで連絡して聞く事でもないよな……
自問自答を心の中で繰り返しながら席へと戻ると「ハァ……」と無意識に溜め息が漏れてしまった
「どうした?何かあったか……?」
白石さんが心配そうに私を見つめている
「あ……いえ、大丈夫です」
「そうか……ならいいけど……
でももし何かあったら俺に言えよ」
「はい、ありがとうございます」
白石さんは本当によく見てるよな……
必ず助け船を出してくれるもんな
私も後輩から頼られる先輩になれるように見習わなきゃ!
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