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「ねぇ、主任に気持ちは伝えないの?」
私の顔を覗き込むようにして真面目な顔で聞いてきた
「昨日はね、本当に伝えようと思ったんだ……
でも……言える場面はたくさんあったのに言えなかった
柳川さんとの事が気になってるのはもちろんだけど……ううん、それは言い訳かな
言ってしまって今の主任とのこの距離が離れてしまうのが怖くなった
今より主任と関わっていられなくなるのが嫌だったの……
白石さんの時と同じ……本当に進歩がなくて自分で自分が嫌になる
でもさ、柳川さんとじゃどうしたって私に勝ち目はないよ……
砕け散った後の心の準備がまだ出来てない……もう、こんな自分嫌い……」
言ってて本当に情けなくて梓の顔が見れない……
「う~ん……気持ちはわかんなくはないけど……
ね、双葉……とりあえず今電話してみなよ」
「え!今!?何で!?」
「ほら、相場さんの仕事の件で聞く事あるんでしょ?ちょうどいいじゃない
今なら部屋でもう落ち着いてる頃だろうし……
大丈夫、仕事の事なんだから堂々と聞けばいいのよ」
時計を見ると21時……
確かに今なら部屋にいる頃かな?
そうよね、仕事の事だし、サクッと聞けばいいんだよねサクッと……
それに今なら梓がいてくれる
「うん、かけてみる!」
パッと顔を上げて真っ直ぐに梓を見ると、梓がニコッと微笑み返してくれる
急いでバックからスマホを取り出すと、着信があった事を知らせるランプが点滅していた
電話あったんだ……誰だろう……?
「え?」
「どうかした?」
画面を見たまま固まってる私を見て梓が首を傾げている
もう一度時計を確認して梓に向き直る
「主任から着信があったみたい……えっと今から一時間前くらいに……」
「あらそうなの?なら、好都合じゃない
ほら、さっさとかけなさい
それから用件済んだら最後に「主任に話があります、でも電話では言えないので今度お時間下さい」って一方的でいいから言ってから切りなさい、いいわね!」
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