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「いやいや、何でそうなる……
相場さんと付き合うなんて……そんなつもりはないし、それにそんなの相場さんに失礼だよ」
「あらどうして?付き合ってからだんだん好きになる場合だってあるわよ
第一相場さんの事は双葉だって素敵な人だって思ってるんでしょ?
今まで意識した事がなかったからピンと来ないだけで、これを機会に相場さんを男性として見てみたら?
何か大きく変わるかもしれないわよ
心の読めない主任より誠実に双葉を思ってくれる相場さんの方がきっと双葉には合ってるよ
主任は……正直ちょっとよくわからないわ
どんなつもりで双葉に構っているのか?
単なる気まぐれ……?暇潰し……?それとも本気……?
ねぇ、双葉……よく考えてみて
相場さんとの未来もありじゃないのかな?」
どうして梓がそれほどまでに相場さんを薦めてくるのか私には正直わからなかったが、今はどちらにせよ先の事なんて考えられない程に落ち込んでいる自分がいる……
「梓……今は無理だよ……ごめん……
私、今日はもう帰るよ
色々ありがとね、梓はまだゆっくり飲んで行って……じゃあまた明日……」
お財布からお金を出してテーブルの上に置くと、コートとバックを手に持ち立ち上がる
「え?ちょっとまって、私も帰るよ」
慌てて立ち上がった梓に
「え?いいって、梓まだ飲み足りないでしよ?それに雅也さんとも今日はお話出来てないし……私なら全然平気だからね、先に帰ってもう寝るよ、じゃあねおやすみ」
そう言うとカウンターの中にいる雅也さん(この店のマスターで梓の想い人……確か40才独身って言ってたっけ?)に「ご馳走さまでした」と言って店を後にした
駅までの道のりを一人で脇目も振らずに黙々と歩く
早く家に帰りたい
早く一人になりたい
込み上げてくる涙をグッと唇を噛み締めて堪える……
(主任のバカ……こうなるなら勘違いさせる様な事しないでよ……)
八つ当たりだとはわかっているけど、文句の一つでも吐き出さなきゃやってられないよ……
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