故郷からの客人

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「それだけではない。まさか、まさかとは思うが……どっちが妻だ」 ここで誤魔化してもいずれ分かること。ブランクは悪戯を白状する子供のように、おずおずと手を上げた。 「ッ……!!!」 想像通り、グルガンは絶句する。龍希も恐らくそうなるだろうとは思っていた。自分の母のように、世の中は誰もが寛容な訳ではない。 今まで長い間手塩に掛けて育てた我が子同然のブランクを、突然顔も知らない人間に嫁にさせられたとあってはグルガンの怒りも相当なものである。 「ま、まあ取り敢えず俺の家まで行こう。話はそれからで……」 「そうだな。その家とやらで ゆ っ く り と話をさせてもらおうか……!」 一時も待てないと言わんばかりのグルガンを追い、龍希とブランクも固唾を飲んで後に続く。 ……と思われたその時、グルガンは突然龍希の首を腕でロックして耳元で囁いた。 「これから末永い付き合いになると思うが、宜しく頼むぞ。タツキ……!」
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