蜻蛉返り

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「アルフか。確かそう言う意味では久しぶりだな」 「ええ。本当に」 このアルフと言う男は、元ボルト・ガードの一員でグルガンの部下であった。しかし、今は違う仕事をしており龍希とも一度顔を合わせている。 「しかしよくこっちに来ることができたな。暇の取れる仕事ではないだろう」 「これ自体が仕事です。レーガンさんに通達を届けに来ました。それに、余談ですが今期の龍王様は随分と寛容みたいです。有給もちゃんとありますよ」 そう、アルフはあの時龍王の周りにいた四人の護衛の内の一人。言うなればボルト・ガードから栄転した形となる。 「それは何よりだ。本当に何よりだ。よかった、よかった」 「…………」 見るからに嫌味ったらしい態度にアルフも苦笑いを浮かべるしかない。 本来であればこの筋の仕事では最高となる龍王の護衛は、グルガンにも当然声はかかっていた。しかし、マキナ家に固執するグルガンはこれを拒否し、その結果腹心の部下を引き抜かれることになった。 グルガンは部下よりも低い地位になったことではなく、マキナ家から離れる道を選んだアルフそのものに腹を立てているのだ。
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