蜻蛉返り

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「しかも、まだ死罪と決まった訳ではない。こんなことは言いたくないが、奴が直接殺したのは自分で作った生物兵器だけ。上の判決次第では懲役だけで済む可能性も十分にあった。それすら待たないとはどう言うことだ」 「私にそんなことを言われても……」 グルガンにまくし立てられてアルフは困惑するが、その問題をそれほど気にしてはいなかった。何故なら、二人にとって重要なのは次の報告だからである。 「それよりも、こっちの方が本題です」 「何だ、勿体ぶった書き方は読むのに面倒だから口頭で伝えるのではなかったのか?」 「最初はその方が効率的でいいかと思いましたが、マキナ家への忠義を重んじるのならば……」 「お前まで勿体ぶるな!」 グルガンは半ば取り上げるような形でアルフから公文書を受け取るが、読み進めていく内に顔色が段々と変わり、最後には青ざめた。 「これをブランク様に伝えろと……?今の状態で、私がその伝令役になれと……!?」
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