蜻蛉返り

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「伝えることは伝えました。では、私はこれで」 アルフは再び魔法で姿を消すと、そのまま音もなく屋上から立ち去った。 「……勝手な奴だと、思われなければいいが」 月明かりの下に一人残されたグルガンは、そう呟いて諦めたように目を瞑る。 ……… …… … 「今、ノックの音聞こえたよな?」 「ああ」 夕飯を終えて食器を片付けている最中だった龍希とブランクは不思議そうな表情で顔を見合わせた。 何が不思議かと言えば、このマンションにはきちんとインターホンが付いている。普通ならノックなどせずにそれを使う。 そう、インターホンと言う利器を知っている者であれば。
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