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「グルガン……なのか」
恐る恐るドアスコープを覗くと、こちらから見られているとは知らないグルガンがやたらと思い詰めた表情で立っていた。龍希は取り敢えずドアを開けて招き入れる。
「どうしたんだ?」
「済まないが、もう一度ブランク様を交えて三人で話がしたい」
「だってさ、ブランク」
「別に構わぬが……様子を見に来ただけではなかったのか?」
グルガンの表情に不安を覚えたのか、はたまた二度も水を注されて煩わしくなったのか、ブランクも不機嫌を隠せない。
「申し訳ありません。ただ、私がこの世界に来てからブランク様を見つけるまでにはかなり間がありました。その間に向こうの事情がかなり変わったようです」
心苦しそうに弁明するグルガンを見て、二人の中に渦巻く嫌な予感は更に濃くなった。
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