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「ルゴールドが逃げ出しただって!」
脱走の知らせを聞いて、龍希は驚くと共に些か複雑な気分になった。
グルガンの話によれば、確定してはいなかったが死罪になる可能性が半々だったらしい。ルゴールドに苦しんででも生きて罪を償えと言ってしまったのは自分である。もしそれが脱走の原動力になったのだとしたらと思うと、あまり良い気分ではなかった。
「それに関しては、国が追っている。いずれ捕まるだろう」
グルガンはそう言うが、龍希もブランクもルゴールドが一筋縄で捕まる訳が無いと確信していた。しかし、それはこの後の一報に比べればほんの些細な知らせに過ぎない。
「それと、もう一つの連絡なのですが……」
先ほど龍希が玄関で見たのと同じ、思いつめた表情と声色。二人が固唾を呑む中、グルガンはついに重い口を開いた。
「マキナ家から、強制帰還の命令です」
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