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「とにかく、だ。例え龍王の命令であっても聞き入れる訳にはいかない」
ブランクにしてみれば至極当然のこと。龍希を置いていくにしても連れて行くにしても、どの道それは不安と苦痛に満ちた選択になる理不尽な二択であるからである。
「お願いします。どうかほんの僅かな間だけ、我慢しては頂けませんか……!」
しかしグルガンもまた、先程とは違うまるで手の平返しに等しい言葉を吐かなければならない苦悩に苛まれていた。
「ほんの僅かな間だと。どこにそんな保証がある。どこにそんなことが書かれている?」
無論、何も具体的なことが書かれていない令状を何も伝えることなく立ち去ったアルフに押し付けられたグルガンには答えられる筈もない。
「白紙は嘘よりも信用できない」
「ですが、ですが……ぐ……」
ブランクを優遇したい気持ちはあくまでも私情。今はブランク個人よりもマキナ家の忠実な伝令役でなければならない。
グルガンにとってもまた、これが理不尽な二択であることに変わりはなかった。
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