新たな日常

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「よう龍希。隣いいか」 「ああ。昼休みしか会えないのはいい加減辛いよ」 正面の椅子に腰掛けて弁当を広げたのは、この学校で唯一龍希が心を開くことのできる親友、青山であった。学年が変わり別のクラスになってしまい、龍希の心労を加速させている。 「そう言えばあの数学の横田って先生、どうやら三年前から『いたってことになってる』らしい」 「そうか。荒木先生……いなくなったのか」 青山が持ってきた新しい情報を元に、龍希は苦痛を伴いながら記憶を更新した。戦いが終わってから今までの半年は、ずっとこの調子である。 龍王が時間を巻き戻したことにより、アルマゲドンとの戦いで死んだ者は歴史が書き換えられた。ある人は病気で死んだことになり、高校生のような子孫を持たない者はやむなしとして初めから生まれて来なかったことになっている場合も多い。 受験に落ちた筈の友人がいきなりクラスメイトになっていたり、逆に幼い頃からの友人が跡形もなく消えてしまっていることもある。 二人はよく似た知らない世界に迷い込んでしまったかのような感覚に陥り、戸惑いながらも少しずつ慣れ始めたと言うのが今の現状であった。
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