花と火

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「これからお前達はどうするんだ?まだ時間はある。もう一回家でゆっくりしていってもいいんだぜ」 「そうだな……やることはやったし、次は有子の所にでも行ってみるよ。それでいいだろ、ブランク」 「うむ。我も久々にクレインに会ってみたくなった。花火が見れなかったのは残念だがな」 「今度見せるよ。約束する」 「そうか。ならお前にはこれをくれてやろう」 ブランクは胸ズボンのポケットから『何か』を取り出し、バニアスにそっと握らせる。それを受け取った瞬間、バニアスは吹き出した。 「な、何でお前がこんなモン持ってんだよ!」 (あの『御守り』のことか……) 「勘違いするな。元はといえばあの端尾が冗談半分で渡してきたものだ。我よりも持っておく価値はあるだろう?ネスレにでも渡すんだな」 「うるせえ!こっちは真剣なのにここぞとばかりにからかいやがって、何処にでも行っちまえ!」 バニアスは飛び去る龍希達に蹴り上げた土を浴びせる。しかし、その顔はにこやかであった。 二人の休日は、まだ始まったばかりである。
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