猛毒の愛

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「失敗したな。せっかくだから、せめて昼食ぐらいご馳走してもらえばよかった」 「まあ有子の家は金持ちだ。そのくらい出るであろう」 「お前、間違っても本人達が居るときに言うなよ……」 門のチャイムを鳴らし、暫く会話しながら時間を潰す。 有子は元々マジックの公演などで休日は多忙なため、アポイントメントも無しでは会えない可能性があることも当然考慮している。もしもそうなら、クレインの元を訪れてみようと予定を立てていた。 『お二方でしたか。本日はどのような御用でしょうか』 そうこうしている内に、インターホンの先からエルト声が聞こえた。特に用事がある訳ではないので、龍希はそれを正直に伝える。 『そうでしたか。それは嬉しいのですがお嬢様は今日用事が入っておりまして。申し訳ありませんがまたの機会にお願いできますでしょうか』 それなら仕方がないと二人は引き返そうとしたが、その時事件は起きた。
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