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「そうか、クレインの所に行ってたのか」
「ああ。みっちり扱かれて来たぜ」
本人の話によれば、あの後クレインの下に住み込み、人間に化ける魔法とこの世界の常識を必死に勉強したらしい。その甲斐あって、危惧した電車は改札から乗り換え、果てには優先席を譲るまで完璧である。
「そう言えば、自分の生活に慣れるのに精一杯で他の皆がどうしてるか知らなかったなあ」
「それはこっちも同じだ。なあ、不躾な頼みで悪いんだがこのままお前の家に寄ってもいいか。久々にブランクと会ってみたい」
「いいよ。あいつはどうせ朝食とか弁当に使うからって、夕飯多めに作るしな」
「ブランクが料理ねえ……」
「上手いんだぞ」
「そいつは楽しみだ」
クレインが病院をやっている隣町の駅を過ぎ、目的地の扉が開いた。
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