第1章

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正面に5席と入り口側に3つだけ備えつけられたイスの向こう、コーヒーを作るための広い空間を独り占めしている男が一人 見た目は20代前半で、器量はそれなりにいい方 ただ、その青年は誰が見てもわかるほどに退屈そうにしている 組んだ腕をカウンターに乗せ、それを枕代わりにして、入り口をぼーっと見つめる それは当然で、早朝の客が帰って以来誰も入ってこないのである 今日に限った話ではないが、コーヒーを上手に作るための練習もする意味がないほどに上達しているから、自分に作るのは詰まらない それよりも、青年が退屈しなければならない理由は他にあった
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