第1章

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青年の退屈の原因は、青年が望んでこの職場にいるわけではないということ 元々は青年の祖父の祖父から経営してきたこの店を、父親が他のビジネスで成功したがために継がなかったためであった それを半ば強引に引き取った姉の命令で、今ここにいるのである 幾度ものため息に現れているようにその心労は途方もない ラジオから流れ続けているジャズも青年の睡眠を誘うだけ 年季の入った店がある閑静なここでは世界から誰もいなくなったかのようにすら思える だから、いつの間にか、青年の目蓋は閉じられていて、全身から力も抜けていた 誰かが見たら、気持ちよさそう、と言うかもしれない、そんな寝顔をしていた
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