Taboo

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 その時、社長の唇が私の唇を軽くチュッと吸った。カアアアッと火が出そうなほど顔が熱くなる。 「…唇荒れてんな。ガサガサだぞ」 「えっ!?」  私は慌てて、自分の唇を指先で確かめる。 「嘘だ」 「はぁ!?」    愉しそうにクスクス笑いながら、社長は立ち上がると、扉に向かう。 「何処に行くんですか?」 「これから、また社に戻る。ここには一旦、“食事”に戻っただけだ」 「…私も一緒に行った方がいいですか?」  たずねた私に、社長は 「いや、今日はいい」  と、首を小さく横に振る。
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